【前編】3×3×3のキューブ達と苦楽を共にし、青春を捧げてきた男 ~モノ・ガタリEPISODE1 ~

~モノ・ガタリ~ それは、「モノ」を愛する者たちの語り。

町工場、其処は「モノがカタチになる」場所である。そんな場所に身置く多くの者たちは、「モノ」への偏愛が強い傾向にあることは、いわずもがな。 そんな、真っ直ぐな曲者たちの想いをお届けします。

記念すべき第一回目の語り手は、「どんな大人よりも人格ができている新入社員(当社比)」の、肥沼さん
ナビゲーターは、自他ともに認める「新人の恋バナの先導者」経営企画部の小林部長(以下KB)でお届けします。

ぼくはルービックキューブの革命期にいれたという高揚感が半端ないんです!!

KB  (肥沼さんがバッグの中からおもむろに取り出した、傍目にはほとんど同じように見える数々のルービックキューブ達を見て)あの~素人目にはみんな同じに見えるんだけど、何が違うの?

全然違いますよ。回しやすさ、材質、音、直線の動きに強いものからコーナーカットの斜めから回せるものまで、もう全く違います!

KB  ん~~、もう少し詳しく教えてもらっていいですか。

ぼくの中では、大きく3つの革命があったと思っていて、その最初の第一革命は「回転の軽さ」を追求したものです。

見て下さい、全然違いますよね?

KB  ・・・う、うん。

第二革命は「回転の軽さ×柔軟性」です。ルービックキューブって回転が軽いと回しやすいんですけど、逆に制御しづらくなるんですよ。余計に回り過ぎちゃうというか。そこに柔軟性を加えて、斜めからでもコーナーカットで回せるようになりました。キューブなんですけど、球みたいな感覚ですね。

KB  ・・・。うん、分かるようで分からないような感じだねぇ。

中を開けて見れば分かりますよ!

KB  えっ!? 中って開くの?

開きますよ! ほらっ、こんな感じで中を空けると球になっていくんですよ。回転を良くするために、一個一個取り外してグリース(※)とかを塗ります。
※潤滑剤のこと

KB  うわーー!! これは凄いね! モノによって形状も微妙に違うんだ。

そうなんですよ。キューブは奥深いんです。この中の形状とかで回しやすさが微妙に違います。昔は、こんなキューブが1個2000~3000円で売っているのは高いと思っ てましたけど、今考えると、こんなに技術が詰まっていて、この価格で売っているのはヤバいと思いますね。

KB  さて、いよいよ最後の第三革命ですね!

きましたね。これはほんとにヤバいです!この革命前後でキューブの世界が一変しました。ぼくはこの進化の歴史を同時代に生きてこられて本当に幸せだと思っているんです。ぼくの中では半導体のムーアの法則にも匹敵する大革命です!!

KB  OK、一旦落ち着こう。そして、時を進めよう!

はい、それではいきますよ! ルービックキューブ史上、最大の革命、それは「磁石」です!

KB  ??? ん~~~???

キューブの中に磁石を入れたんです! 磁石でキューブが止まることによって回転を軽くし柔軟性を持たせつつもせつつも、安定感が出ました。当然、最初はアンチの人が多く、試合でも使えなかったのですが、旧世代の人達も改造してマグネットを入れ始めるなど、しばらくして、ほとんどの人がマグネットタイプを使用するようになりました。この時期は、3カ月に一回くらいのペースで新作が登場するなど、進化のスピードが桁違いでしたね。

KB  なるほどねぇ。確かにちゃんと説明を聞くと理に適った進化だね。

このような連続した進化の革命がぼくが小学校から大人になるまでの十数年の間に起こったんです。ぼくらはIT革命の恩恵を受けたデジタルネイティブ世代ですが、みんながスマホを触っている間にぼくはいひたすらキューブをいじり続けてました。

KB  ある意味、凄いね。

この3×3×3のキューブの組合せの中に、ぼくの青春の記憶がすべて詰まっているんです。

KB  おっ、それはまた違った意味でサイコティックな話に発展しそうで興味深いが、そ の先は是非、後半戦で聞かせてください。

後編へつづく