【前編】ロボフト戦闘から一直線に浜野製作所まで突っ込んできた男 ~モノ・ガタリEPISODE2 ~
~モノ・ガタリ~ それは、「モノ」を愛する者たちの語り。
町工場、其処は「モノがカタチになる」場所である。そんな場所に身置く多くの者たちは、「モノ」への偏愛が強い傾向にあることは、いわずもがな。 そんな、真っ直ぐな曲者たちの想いをお届けします。
第2回目の語り手は、「ポテンシャルの四次元ポケット」こと、長澤さん。ナビゲーターは、自他ともに認める「話を聞くのが好きすぎて、面談時間がふえるわかめ状態」の経営企画部の小林部長(以下KB)でお届けします。
勝つための戦略には興味がないんです
KB (長澤さんがボロボロになったポケモ〇のビニールバックの中からおもむろに取り出した金属の塊を見て)何かまたヤバそうなモノが出てきましたねぇ。まずは少し簡単に説明してもらっていいですか。
ハイ、これは高校時代の部活動で作ってたものです。
KB 部活動?
ハイ、部活動です。
KB んーー、高校時代にこんな部活動があるの?
ハイ、あったんですよ、そういう学校だったんで。
KB なるほど、その学校もすごく気になるが、一旦、その部活や作っていたモノについて伺おう。
ハイ、部活はロボットアメリカンフットボール、ロボフトです。
KB よく分からないんだけど、まとめるとどういうこと?
ハイ、とにかく、相手の機体をぶっ壊して、点数を多く取ったチームが勝ちです。動画で見た方が早いですよ。(※)
※インタビュー後、本人にルールを改めてテキストで送ってもらいました。「ラジコン型ロボット5体5でボールを奪い合い、相手ゴールへ運び込む事で得点を競う競技です。」だそうです。
KB おお、これは凄いね!
ハイ、ぼくのはとにかく点数を取るためのアタッカーです。裏側に敵を壊すための機構が付いていて、相手がぶつかったら、ロックが外れて、この強力なバネで上に跳ね飛ばします。
KB それだけ激しくぶつかると、すぐに壊れそうだねぇ。
ハイ、この機体は2年間使いましたが、1試合で色んなところが壊れるので、ほぼすべてのパーツを作り直してますね。ジュラルミンもへし曲がりますからね。とにかく、壊れるんですよ、これ。でも、「ぼくが何とか直してやるから全力で戦ってこい」と試合に送り出して、壊れたのを直すのが好きなんです。いやもっと言うと、ボロボロな感じが好き!
KB なるほどね、やはり、そっちの世界の人ね。
この機体は基本的に直進なんで、自分と同じですね。自分の中身が投影されているというか、写し鏡ですよね!
KB やっぱそうなるんだね、不思議と。ちなみに、この競技ってどれくらいの人がやってるの? 高専ロボコンみたいな感じ?
ハイ、分からないです。
KB え? 戦闘人数とか分からない状態で戦いに臨んでいるってこと? たぶん、戦場で一番最初にやられるタイプじゃない?
ハイ、戦うのが純粋に好きなだけで勝ちにいっているわけではないんです。「戦闘狂」です。
※設計開発部リーダーであり、巷でじんわり話題になったテレビ番組「魔改造の夜」の爆走ワンちゃんの開発チームメイトでもある内田パイセン(内田P)が思わず一言
内田P 長澤君は、吹っ飛ばす機能が一回でも上手くいったらOKのタイプ。競技人口とか勝つための戦略とかには興味ないんですよ。
KB 訊いた俺が悪かったわ。誰がどれだけやってるとかは気にならないんだね。でも、何考えてるの?
ハイ、自分の設計したものがあって、それがしっかり機能するかどうかにだけ興味があります。
KB そこね?
そこ。
KB そんなロボフトに明け暮れた高校時代だったわけだね。
ハイ、そもそもこれがやりたくて高校を選びました。すべての選択肢がこのロボットアメリカンフットボールがあるかどうか。
KB そこからやっぱもう違うよね、ロボフト目線で高校を選択する、こういう子が世の中にいるわけだよね。つまり、高校の部活はそういう子が5人くらい集まってきたということ?
ハイ、戦闘狂2人、真面目な子1人、微妙な子2人のそんな構成です。3人は何となく頭数合わせでやらされている感じ。
なので、相方の戦闘狂と2人でずっと機体をぶつけ、かわし合う練習をしていました(笑)
KB それはほとんどロボットレスリングだよね(笑)。何だか、気になることはたくさんあり過ぎますが、後半戦では、もう少し長澤君自身のことを掘り下げさせてください。
<後編へつづく>