【前編】大ブレイク前夜・絶賛発掘待ちのふんいきクリエイター ~モノ・ガタリEPISODE1~
~モノ・ガタリ~ それは、「モノ」を愛する者たちの語り。
町工場、其処は「モノがカタチになる」場所である。そんな場所に身置く多くの者たちは、「モノ」への偏愛が強い傾向にあることは、いわずもがな。 そんな、真っ直ぐな曲者たちの想いをお届けします。
前回の連載から早2年。人事担当者としてコロナと戦う経営企画部の小林部長(以下KB)が帰ってきた!「ふざける」「いじる」ことを図らずも自粛してしまった彼が、満を持して「モテ」と「モノづくり」に迫ります。インタビューされるのは、独立行政法人国立高等専門学校機構 呉工業高等専門学校(以下、呉高専)の主席卒、実力派の鐘ヶ江さんです。
不純な動機ではじめよう! モテたいなら、ロボコン・モノづくり
KB 大好評月刊企画のモノ・ガタリ。第三弾は設計開発部の鐘ヶ江君、通称カネチンです!
だいぶ連載期間、空いてる気が…。
KB うっ。まぁ、細かいことはさておき、早速カネチンの人格形成に大きな影響を与えた偏愛的なモノを紹介していただきましょう。
どれか1つというのは決められないんですけど、自分で作ったモノはどれも愛着があるというか…。
まぁ、ぼく、中学の頃からロボコンやってはいたんですけど。
KB ん? それ初耳なんだけど。というか、そもそも中学にもロボコンってあるの?
そうなんですよ、製作部という部活があって、そこでロボコンやってたんです。あまり訊かれなかったので、今まで話してなかったですが。
KB カネチンは広島の公立中学校だっけ? 普通の公立学校にロボコンがあるんだ、すごいね。それで何か面白そうって思って入部したと?
そうです。と、言いたいところですが、実は不純な動機で。とにかく楽な部活が良いなぁと思っていて、図書部と製作部で迷っていたんですが、図書部に見学に行ったときにやってなかったんですよね。どうやら週1しか活動していない(笑)
それで、なし崩し的に製作部に入りました。
KB 大体、カネチンは動機が不純だもんな。それは昔からあまり変わらんね。何はともあれ、その部活でロボコンに出会ったと。で、部活はどんな感じだった?
そうですね。まず顧問が技術の先生で、ヨレヨレの服をきて、変なぶ厚いメガネをかけたギーク臭のする、そのへんにいそうなロボット好きのおっちゃんでした。
KB 中学の技術の先生というと、ノコギリとかトンカチを持った日曜大工みたいなイメージがあるけど、その先生はたまたまロボオタだったんだね。それは恵まれたね。
大会前とかは夜の21時くらいまで一緒に楽しくロボットを作ってました。
「床にロボットを置いとくな! 自分が作ったロボットは自分の子供と思って扱え!」みたいな大切なことを楽しみながら教えてくれたのはいまも思い出に残ってますね。
KB それ、絶対に先生も楽しんじゃってるよね(笑)なんか良い光景だなぁ~。
ロボット製作に対してもフィーリング重視でかなり自由にやらせてくれる方針だったので、このときはすごい楽しかったですね。
KB なるほどねぇ。ロボコンの競技自体はどんな感じだった?
中1のときは、こんな感じで、3m×3mのセンターから自陣・敵陣に分かれ、それぞれ机の上に空き缶を置き、ロボット2台で机を引っ張る、空き缶を乗せる役割を担って、1分30秒のうち、机により多くの空き缶が残っていたチームの勝ちという競技でした。
ぼくは敵の空き缶を落とすロボットの操縦者だったんですが、配線が引っ掛かってアームが上がらなくなり、自滅しました。ここから、配線は綺麗にまとめておかないとダメだということを学びましたね。
KB:こういう実践的な学びって大事だよなぁ。
でも、良かったのは中1までですね。中2で顧問のロボオタ先生が異動になり、違う先生になったんですが、その人はすぐ怒る、口うるさい感じで「まずちゃんと設計しろ、どんなふうに作るか考えてからやれ!」みたいな理屈重視の指導方針だったので、当時のぼくには合わず。人間的にもあまり好きになれなかったので、やる気もでず、サボって卓球とかしてました。
さらに中3でも再度顧問が変わり、今度はまったくの門外漢。技術的な相談をしても「ぼくは分からないけど、良いんじゃないかなぁ~。」みたいな曖昧な反応が返ってくるだけで、完全に路頭に迷いましたね。
KB これは公立学校の悲しき宿命やねぇ。。
中3最後のロボコン大会は、みんな携帯で遊んだりしていて、1週間前になっても何もできておらず、結局辞退して終わりました。
KB やはり環境ってのは大事なんだなぁ。ここを掘り下げても面白そうだけど、『モノ・ガタリ』なので、後半は、高専ロボコン時代から現在の活動に至るまでを伺いましょう!
<「モテ」には一切触れることはありませんでしたが、いいお話でした。後編へつづく>